こんにちは、てどりんです。
このブログでは債券を買わないと書いてきました。でも、あの記事は理屈だけで、数字の裏づけがありませんでした。
今回、その根拠になる本を読み直しました。ジェレミー・シーゲル『株式投資 第6版』です。
1802年から2021年までの、約220年分のデータが載っています。
まず結論
インフレを差し引いたあとの、年率リターン(1802〜2021年・米国)です。
| 資産 | 実質リターン(年率) |
|---|---|
| 株式 | 6.9% |
| 長期国債 | 約3.6% |
| 短期国債 | 約2.6% |
出典:ジェレミー・シーゲル『株式投資 第6版 長期投資で成功するための完全ガイド』(日経BP)第1章。株式の6.9%は同書の記載。長期国債・短期国債は、同書の「株式リスクプレミアム(長期債に対して3.3%、短期債に対して4.3%)」から私が逆算した概算です。抜粋は日経BOOKプラスで読めます。
株式と長期国債の差は、年3.3%。
「たった3.3%」に見えるかもしれません。でも、これが決定的な差になります。
3.3%の差が、時間でどう開くか
私の計算ですが、それぞれの年率で運用したときの倍率です。
| 期間 | 株式(6.9%) | 長期国債(3.6%) | 短期国債(2.6%) |
|---|---|---|---|
| 20年 | 3.8倍 | 2.0倍 | 1.7倍 |
| 30年 | 7.4倍 | 2.9倍 | 2.2倍 |
| 40年 | 14.4倍 | 4.1倍 | 2.8倍 |
30年で、2.5倍もの開きが出ます。
もっと身近な数字にしてみます。月3万円を30年間積み立てた場合です(元本1,080万円)。
| 資産 | 30年後(実質) |
|---|---|
| 株式 | 約3,589万円 |
| 長期国債 | 約1,940万円 |
| 短期国債 | 約1,633万円 |
※ 私の試算です。実際のリターンは変動し、この通りになることを保証するものではありません。
同じ1,080万円を出したのに、1,600万円以上ちがいます。
これが、債券に投資しないと決めた理由です。
220年という長さの意味
「昔のデータが、これからも通用するのか」と思うはずです。私も思いました。
シーゲルはこの220年を3つに区切って、それぞれの株式リターンを出しています。
| 期間 | 株式の実質リターン |
|---|---|
| 第I期 1802〜1870年 | 6.7% |
| 第II期 1871〜1925年 | 6.6% |
| 第III期 1926〜2021年 | 7.1% |
出典:同書 表1-1
どこを切っても、6〜7%です。
この220年に何があったか、思い出してみてください。
| 起きたこと |
|---|
| 産業革命 |
| 南北戦争 |
| 第一次・第二次世界大戦 |
| 世界恐慌 |
| 金本位制から管理通貨制への移行 |
| インターネットの登場 |
| コロナ禍 |
これだけのことが起きて、なお6〜7%で安定しています。
シーゲル自身も、著書でこう書いています。
株主の富を生み出す基本的な要素が劇的に変化しているにもかかわらず、株式リターンは驚異的な安定性を示しているのだ
「アメリカだけ運が良かったのでは?」への答え
ここが、この本のいちばん誠実なところだと思いました。
シーゲルは、自分の説への批判をそのまま載せています。
米国の株式リターンには「生存バイアス」がある
意味はこうです。 アメリカは200年で小さな植民地から世界一の経済大国になりました。成功した国だけを見て「株は上がる」と言っているのではないか、という指摘です。ロシアや中国のように、株式市場が消えた国もあります。
もっともな批判です。
世界中を調べた研究がある
この批判に応えるため、英国の3人の経済学者が1900年以降の各国を調べました。当初は19カ国で、その後国が追加され、シーゲルが載せている最新のデータでは21カ国になっています。
結果は、こうでした。
| 実質リターン(年率) | |
|---|---|
| 世界全体の株式 | 5.3% |
| 米国の株式 | 世界より1.3ポイント高い(21カ国中3位) |
| 最も低かった国(オーストリア) | 0.9% |
| 最も高かった国(南アフリカ) | 7.1% |
出典:同書 図1-2(ディムソン・マーシュ・スタウントンの研究データより。対象21カ国・1900〜2020年)
たしかに米国は良いほうでしたが、1位ではありませんでした。 そしてどの国でも、株式のリターンはプラスでした。
さらに重要なのがこの一文です。
すべての国で株式リターンが債券リターンより高く、株式リターンが低い国は債券リターンも低かった
戦争やハイパーインフレを経験した国でも、株式は債券に勝っていました。
シーゲルは、研究者自身の言葉も引用しています。
株式が長期債や短期債を上回るという米国の経験は、調査した16カ国すべてで見られた
※ この引用は、3人が当初調べた国のうち16カ国についての記述です。
「アメリカだから」ではなかった、ということです。
この数字の、正しい受け取り方
ここまで読むと「株式一択だ」と思いたくなりますが、注意点が3つあります。
① これは「長期」の話です
220年、あるいは30年の話です。来年どうなるかは、まったく別です。
シーゲル自身が、こう書いています。
株式リターンの長期的な安定性は、短期的な安定性を保証するものでは決してない
実際、1966年から1981年までの15年間、株式の実質リターンはインフレを0.4%下回りました。 15年間、実質でマイナスだったということです。
15年耐えられるか。 それが問われます。だから暴落が来ても売らない準備が要ります。
② 6.9%が今後も続く保証はありません
これはシーゲルの主張ではなく、私の考えです。 念のため書いておきます。
シーゲル自身はむしろ株式に強気で、「2021年末以降、株式プレミアムはさらに上昇している」と書いています。将来のリターン低下を予想しているわけではありません。
それでも、過去の平均は未来の約束ではないと私は考えています。このブログでも年利7%を鵜呑みにしないと書いたとおりです。
③ この話は「幅広い株式インデックス」の話です
市場全体に分散した株式の話であって、個別株やテーマ型の話ではありません。S&P500やオルカンのような商品を指しています。
私が受け取ったこと
この数字を見ても、私の行動は何も変わりません。
すでにインデックスを積み立てているし、債券は買わないと決めています。
変わったのは「自信」のほうです。
お金の勉強に読んだ本10冊にも書きましたが、本を読む目的は、新しい手法を探すことではなく、いまやっていることに自信を持つことだと思っています。
暴落が来たとき、「220年で年率6.9%だった」と思い出せるかどうか。それだけで、売らずに済む確率は上がります。
まとめ
| 覚えておくこと |
|---|
| 株式の実質リターンは220年で年率6.9% |
| 長期国債との差は3.3%。30年で2.5倍の開きになる |
| どの期間を切っても6〜7%で安定していた |
| 21カ国すべてで、株式は債券を上回った |
| ただし15年マイナスだった時期もある。長期の話 |
この本は、答えを教えてくれる本ではありません。 「なぜ株式を持ち続けるのか」に、自分で答えるための材料をくれる本です。
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一緒に少しずつ学んでいきましょう!
※この記事は個人の感想です。書籍の内容の解釈も私個人のものであり、著者の意図と異なる場合があります。過去のリターンは将来の成果を保証するものではありません。投資には元本割れのリスクがあります。特定の金融商品の購入を推奨するものではなく、投資判断はご自身の責任でお願いします。