こんにちは、てどりんです。

同じファンドを持っていたのに、成績が違う。 そんなことが起きます。

ファンド自体は年8.2%で増えていたのに、そのファンドを買った人たちが実際に得たのは年7.0%だった——というデータがあります。

差は年1.2ポイント。ファンドの成績の約15%を取りこぼしている計算です。

原因は手数料ではありません。売り買いのタイミングです。

1. 行動ギャップとは

モーニングスターという調査会社が、毎年「Mind the Gap」というレポートを出しています。アメリカの投資信託とETFについて、2つの数字を比べたものです。

意味
ファンドの成績 最初に買って、10年間持ち続けた場合の成績
投資家の成績 実際にお金が出入りしたタイミングをふまえた成績

2024年末までの10年間の結果です。

年率
ファンドの成績 8.2%
投資家の成績 7.0%
差 −1.2ポイント

出典:モーニングスター「Mind the Gap 2025」2025年8月13日公表。米国の投資信託・ETFが対象、2024年12月31日までの10年間

レポートには、この差は「投資家が買ったり売ったりしたタイミングと金額によって生じた」と書かれています。

持ち続けていれば8.2%だったのに、途中で動いたから7.0%になったということです。

2. 一時的な話ではありません

「たまたま悪い10年だったのでは」と思うかもしれませんが違います。

レポートには、過去5回分の「10年間」のギャップが載っています。

10年間の終わり ギャップ
2020年末 −1.7ポイント
2021年末 −1.7ポイント
2022年末 −1.7ポイント
2023年末 −1.1ポイント
2024年末 −1.2ポイント

出典:同レポート(各年12月末までの10年間)

どの10年を切り取っても、1ポイント以上の取りこぼしがあります。

3. 商品によって、取りこぼしの大きさが違います

ここがこのレポートでいちばん面白かったところです。

ファンドの種類 ファンドの成績 → 投資家の成績 差
米国株インデックス 12.2% → 12.1% 0.0
バランス型(投資信託) 6.5% → 6.3% −0.1
米国株アクティブ 11.3% → 10.0% −1.3
セクター特化型 8.5% → 7.0% −1.5
バランス型(ETF) 6.4% → 3.9% −2.5

出典:同レポート(カテゴリ別・投資タイプ別の集計)

同じ「バランス型」でも、投資信託なら−0.1、ETFなら−2.5です。 中身はほぼ同じなのに、25倍の差がついています。

違いは売買のしやすさです。ETFは株と同じように、市場が開いている間ずっと売り買いできます。触れる回数が多いほど、取りこぼしが増えているということです。

「インデックスなら大丈夫」ではありません

インデックスファンド全体で見ると、ギャップは−1.3ポイントありました。

ファンドの成績 → 投資家の成績 差
インデックス全体 9.8% → 8.5% −1.3
アクティブ全体 7.5% → 6.0% −1.5

出典:同レポート(運用スタイル別の集計)

インデックスでも取りこぼしています。 差が小さかったのは米国株のインデックスという、特定の分野だけでした。

商品を選べば解決する話ではないということです。

これはアメリカのデータです

このレポートはアメリカの投資信託とETFを集計したものです。日本の投資信託について、同じ形で集計された公表データは見つかりませんでした。

ただ「上がったら買いたくなる」「下がったら売りたくなる」という反応に、国の違いはないと思っています。日本でも同じことが起きていると考えるほうが自然です。

日本の数字ではない点は、割り引いて読んでください。

4. なぜ差がつくのか

レポートは原因を「タイミングと金額」としか書いていないので、ここからは私の理解です。

多くの場合、こういう動きになります。

場面 やりがちなこと
上がって話題になっている 気になって買い足す(高いところで買う)
急落してニュースになる 怖くなって売る(安いところで売る)
しばらく動かない つまらなくなって別の商品に移る

どれも「そのとき正しいと感じたこと」です。だからこそ、多くの人が同じことをして、平均で1.2ポイントの差になります。

プロでも同じです。専門家の予想は当たるのかに書いたとおり、全世界株のアクティブファンドは10年で100%がインデックスに負けています。 プロが予想で勝てない相場で、私たちがタイミングを当てられる理由はありません。

5. 私も、しっかり取りこぼしました

えらそうに書いていますが、私は両方やりました。

高いから待って、買えなくなった

「株価が高いから、安くなったらボーナスで買おう」と待っていた時期があります。待っている間に上がってしまい、上がったあとはもっと買いにくくなりました。

くわしくは「安くなったら買おう」で失敗した話に書いています。

SNSを見て、短期売買に手を出した

FXも仮想通貨も個別株の短期売買も試して、利益は小さく、損は大きく終わりました。下がるチャートに「戻ってくれ」と祈っていた時期があります(その話はこちら)。

どちらも、行動ギャップそのものです。 データの中の「1.2ポイント」は、こういう人たちの集まりです。

6. 取りこぼしを減らす3つのこと

データから読み取れる対策は、シンプルです。

① 積立を設定して、触らない

買うタイミングを自分で決めないのがいちばん確実です。設定してしまえば、迷う場面がなくなります。

積立日をいつにするかは積立日は何日がいい?に書きました。

② 売買しやすい商品を、あえて選ばない

バランス型で投資信託は−0.1、ETFは−2.5でした。いつでも売れる商品は、いつでも売ってしまいます。

投資信託は注文してから約定まで時間がかかります。その不便さが、結果的に守ってくれているとも言えます。

③ 見る回数を減らす

見るたびに「どうにかしたい」気持ちが生まれます。 私は積立の設定を終えてから、口座を見る回数を大きく減らしました。

暴落のニュースが出たときの心構えは暴落が来ても売らないに書いています。

まとめ

ファンドは年8.2%、投資家は年7.0%。差は1.2ポイント(米国・10年・2024年末まで)
取りこぼしはファンドの成績の約15%
過去5回の10年間すべてで1ポイント以上の差。一時的ではない
米国株インデックスは0.0ポイント。ただしインデックス全体では−1.3
同じバランス型でも、投資信託−0.1、ETF−2.5。売買しやすさの差
対策は、積立の自動化・触りにくい商品・見る回数を減らす

投資で難しいのは、商品選びではなく、何もしないことなのかもしれません。

関連記事:

一緒に少しずつ学んでいきましょう!


てどりん
てどりんひとこと 同じバランス型で投信−0.1、ETF−2.5という差に驚きました。売りやすさは、便利さでもありリスクでもあります。

※この記事は個人の感想です。数値はモーニングスターが米国の投資信託・ETFを対象に集計したもので、日本の投資信託の実績とは異なります。過去の実績は将来の成果を約束するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。