こんにちは、てどりんです。

インデックス投資を説明するとき、よくこう言われます。

インデックス投資は、市場の平均を買う方法です。

私もこのブログで何度も書いてきました。間違いではありません。

でも、この「平均」という言葉のせいで、こういう誤解が生まれます。

平均でいいなら、上を目指したほうが得じゃないの?

インデックスの「平均」は、個別株の真ん中ではありません。かなり上のほうです。

日本株で言うと、個別株の82.3%が、その「平均」に負けていました。

先に範囲を書いておきます。これは長く持つ人ほど強く効く話です。1か月だけなら、ほぼ五分五分です。 その理由も後半で説明します。


1. 「平均」という言葉が、誤解を生んでいます

「平均」と聞くと、こう想像すると思います。

真ん中。半分より上でも下でもない、普通のところ。

テストの点数なら、そのイメージで合っています。60点が平均なら、60点より上の人と下の人が、だいたい半分ずついます。

ところが、株のリターンはそうなりません。 大きく増える株には上限がないのに、下がるほうはマイナス100%(ゼロ)で止まるからです。

この非対称のせいで、ごく一部の大化けした株が平均を引き上げ、真ん中の株は平均のはるか下に取り残されます。

ただし、この非対称は一瞬では効きません。 どれくらいの時間がかかるのかは、第5章で数字を見ます。


2. 世界6.4万銘柄で調べた数字

アリゾナ州立大学のヘンドリック・ベッセンビンダー教授らが、世界43の市場・63,785社の株価を、1990年1月から2020年12月まで調べています。

この期間ずっと持ち続けた場合の成績が、こうです。

生涯リターン
平均 +366.8%
中央値(真ん中の銘柄) −6.8%

出典:Bessembinder, Chen, Choi, Wei「Long-Term Shareholder Returns: Evidence from 64,000 Global Stocks」Financial Analysts Journal, 2023

30年かけて、平均は約4.7倍。ところが真ん中の銘柄は、むしろ減っています。

プラスで終えた銘柄は48.2%、市場平均に勝てた銘柄は29.3%でした。

この差が、今日の話のすべてです。


3. 日本株では、82.3%が市場平均に負けました

同じ研究に、「その国の市場平均(時価総額で重みづけした全体)に、個別株は勝てたか」という国ごとの数字が載っています。

市場 市場平均に勝った個別株
ギリシャ 16.8%
ナイジェリア 17.3%
日本 17.7%
マレーシア 18.3%
インドネシア 18.7%
香港 21.1%
中国 23.9%
ドイツ 25.5%
イギリス 26.2%

出典:同上

日本株3,983社のうち、市場平均に勝てたのは17.7%。裏を返すと82.3%が負けています。

調べた43市場のうち41市場で、市場平均に勝てた個別株は半分未満でした。例外はコロンビアとフィンランドの2つだけです。

つまり「平均を買う」というのは、実際には「上位2割に入る」ということです。

日本の数字の期間を確かめると?

この17.7%は1990年1月からの集計です。日経平均が史上最高値をつけたのが1989年12月29日なので、バブルのてっぺんの翌営業日から数え始めた数字ということになります。

研究者自身も論文の脚注で、「日本株は1990年より前の時期に非常に良い成績を上げていたので、もっと長い期間で見れば結果は変わるだろう」と書いています。

日本株が特別にダメだという話ではありません。 期間の取り方でここまで変わる、ということも含めて受け取ってください。


4. たまたま相場が悪かったのでは?→違います

研究チームは「その銘柄が存在していた期間に、市場全体が短期国債に勝っていた銘柄」だけを抜き出して、もう一度集計しています。相場が味方だった銘柄に絞ったということです。該当したのは57,850銘柄でした。

結果
生涯リターンの中央値 +3.26%
短期国債に勝った銘柄 45.7%
市場平均に勝った銘柄 29.7%

出典:同上

相場が味方でも、市場平均に勝てた個別株は3割に届きません。


5. なぜ、長く持つほど差が開くのか

ここまでの数字は、すべて「その銘柄を持ち続けた場合」のものです。

では、短く持つならどうなのか。 同じ研究に、保有期間ごとの数字が載っています。

保有期間 市場平均に勝った個別株
1か月 45.9%
1年 43.2%
10年 35.4%
全期間(最長31年) 29.3%

出典:同上

1か月なら45.9%。ほぼ五分五分です。 ところが期間が延びるほど、勝てる銘柄は減っていきます。

平均と真ん中の差も、同じように開いていきます。

保有期間 平均 真ん中の銘柄
1か月 +1.05% 0%
1年 +14.77% +1.74%
10年 +116.67% +1.47%
全期間 +366.8% −6.8%

出典:同上

1か月だと、平均も真ん中もほとんど同じです。 差は1%ポイントしかありません。

差を作っているのは、かけ算です

第1章で書いた「上は上限なし、下はゼロ止まり」は、1か月ではほとんど効きません。1か月の値動きは、上も下もだいたい同じ幅だからです。

効いてくるのは、それを何年もかけ算したときです。

1か月の値動き 30年かけ算した結果
上がるほう +10%くらい 10倍、100倍もありうる
下がるほう −10%くらい ゼロで止まる

短期では目立たない小さな非対称が、時間をかけて積み上がって、あの82%という数字になります。

「では短期なら個別株でもいい」とはなりません

たしかに1か月なら五分です。ただしこれは税金と手数料を引く前の数字です。

売って利益が出れば20.315%が引かれます。さらに、売り買いを繰り返すこと自体で年1.2%を取りこぼすというデータもあります(投資家の行動ギャップ)。

五分の勝負を、手数料を払いながら続けることになります。

そして、このブログを読んでくださっている方の多くはNISAで10年、20年持つ人だと思います。つまりいちばん差が開く側にいます。


6. では、増えた分は誰が作ったのか

1990年から2020年までの31年間で、世界の株式市場は75.7兆ドルの富を生みました。

これを作ったのは、誰か。

全体の上位2.4%(1,526社) 75.7兆ドルのすべてを生んだ
全体の上位0.25%(159社) そのうち半分を生んだ
上位5社(アップル、マイクロソフト、アマゾン、アルファベット、テンセント) 全体の10.3%

出典:同上

残りの97.6%は、合計するとプラスマイナスゼロでした。

米国株だけを1926年から2016年まで調べた別の研究でも、同じ形が出ています。25,967銘柄のうち短期国債に勝てたのは42.6%。そして上位4.3%(1,092社)が、市場全体の富のすべてを作っていました。

出典:Bessembinder「Do Stocks Outperform Treasury Bills?」Journal of Financial Economics, 2018


7. だから「平均を買う」は、消極的な選択ではありません

買い方 実際に起きること
個別株を選ぶ 真ん中を引く確率が高い。真ん中はほとんど増えない
市場平均を買う 大化けした2.4%が必ず入っている

インデックスファンドを買うことは平均で満足するということでなく、どれが大化けするかわからないから全部持っておくということです。当てる必要がないのではなく、当てなくても、当たった銘柄が自動的に入ってきます。

逆に言えば、個別株を選ぶのは、この2.4%を自分で引き当てるということです。外せば、残り97.6%のどこかに入ります。


8. 私の個別株も、インデックスに負けています

私はメインのNISAでインデックスを積み立てながら、サブ口座で高配当株も持っています。

そちらはインデックスに勝てていません。 配当は嬉しいのですが、値上がりを含めた合計では負けています。

私が下手なのは確かです。 個別株でインデックスに勝ち続けている人は、実際にいます。

ただ、その人たちは上位2割に入れた人です。私を含む残りの8割はこうなるのだと、この数字を見て納得しました。

短期売買でも同じことをやりました。FX・仮想通貨・短期トレードを少額で試してやめた話に書いたとおりです。

今はインデックスを主、個別株を遊びの範囲と決めています。比率はポートフォリオの記事に書いたままです。


9. 「では、なぜアクティブファンドは勝てないのか」

ここまで読むと、こう思うかもしれません。

プロが運用するアクティブファンドなら、その2.4%を選べるのでは?

全世界株のアクティブファンドは、10年で100%がインデックスに負けていました。理由は手数料と、勝ち続けることの難しさです。

→ 専門家の予想は当たるのか


まとめ

インデックスは「市場平均」 間違いではありません
でもその「平均」は 個別株の真ん中ではなく、上位2〜3割の位置
日本株で市場平均に勝てた個別株 17.7%だけ(1990年〜2020年)
相場が良かった期間に限っても 市場平均に勝てたのは29.7%
ただし1か月だけなら 45.9%。ほぼ五分です
長く持つほど差が開く理由 かけ算(複利)で非対称が積み上がるから
世界の富75.7兆ドルを作ったのは 上位2.4%の企業だけ

「平均でいいなら、上を目指したほうが得」ではありません。

平均を買うというのは、当たりを引く役を市場に任せるということです。私はそちらを選んでいます。


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一緒に少しずつ学んでいきましょう!


てどりん
てどりんひとこと 平均+367%・真ん中−6.8%という並びを見て、自分の高配当株が勝てない理由に納得しました。

※この記事は個人の感想です。数値はBessembinder氏らの研究(1990年1月〜2020年12月、米ドル建て、短期国債は米国1か月債)にもとづくもので、集計期間の取り方と、保有期間の長さによって結果は変わります。過去の実績は将来の成果を約束するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。