こんにちは、てどりんです。

「年末には〇〇円まで上がる」「そろそろ暴落が来る」。こういう予想は、毎日どこかで流れています。

言っているのは、経済の専門家やプロの投資家です。素人の私より当たりそうに見えます。

でも、当たっているのかを確かめた人たちがいました。今回はその結果を調べます。

先に結論を書きます。プロの予想は、思っているほど当たりません。 そしてそれを前提にした仕組みを作るほうが、予想を追いかけるより結果が良くなります。

1. 「猿のダーツ」の話は、どこから来たのか

投資の世界に、有名なたとえがあります。

目隠しをした猿が、新聞の株式欄にダーツを投げて銘柄を選ぶ。それでも、プロが選んだ銘柄と変わらない。

これはバートン・マルキールという経済学者が、1973年に書いた本に出てくる話です。

出典:バートン・マルキール『ウォール街のランダム・ウォーカー<原著第13版>』(井手正介訳・日本経済新聞出版・2023年5月30日・512ページ)

ずいぶん失礼な言い方ですが、本の趣旨は「プロが無能だ」ではありません。

言いたいのは、株価には、すでにみんなが知っている情報が全部おりこまれているということです。だから次にどう動くかは、誰にも読めない。読めないものを当てにいく以上、プロでも猿でも結果は似てくる、という話です。

この本は50年以上読まれ続けていて、私もお金の勉強に読んだ本10冊で紹介しています。

2. 「チンパンジー並み」の話は、別の研究です

もうひとつ、よく似た話があります。「専門家の予測は、ダーツを投げるチンパンジーと同じ精度だった」というものです。

こちらはフィリップ・テトロックという心理学者の研究で、投資ではなく、政治や経済の予測についての話です。

出版社のページに載っている書評(フィナンシャル・タイムズのガヴィン・デイヴィス氏)に、こう書かれています。

Tetlock systematically collected a vast number of individual forecasts about political and economic events, made by recognised experts over a period of more than 20 years.

「テトロックは、著名な専門家が政治・経済の出来事について行った膨大な数の予測を、20年以上にわたって体系的に集めた」という意味です(訳は私によるものです)。

出典:Philip E. Tetlock『Expert Political Judgment』(Princeton University Press)掲載の書評より

正確に書いておきます

「チンパンジーが専門家に勝った」という言い方は、盛られています。

テトロック本人も、この言い回しが独り歩きすることには慎重です。研究で言えるのは「専門家の予測が、単純な方法と比べて特に優れてはいなかった」ということです。

「猿のダーツ」(投資の話)と「チンパンジー」(政治・経済予測の話)は別の研究なので、混ぜて語られているのを見たら、少し疑ってかまいません。

3. では、日本で検証するとどうなるか

日本で売られている投資信託で、実際に検証した数字があります。

S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスが年2回出している「SPIVA Japan スコアカード」です。プロが運用するアクティブファンドが、インデックスに勝てたかどうかを集計しています。

2025年末時点の結果です。

ファンドの種類 10年でインデックスに負けた割合
グローバル株式 100%
国際株式(日本を除く先進国) 100%
新興国株式 100%
日本の大型株 80%超
日本の中小型株 62%

出典:S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス「SPIVA Japan Year-End 2025」2026年3月9日公表

上の3つが100%です。 グローバル株式・国際株式・新興国株式では、10年間インデックスに勝ち続けたファンドが1本もありませんでした。

いっぽう日本株は100%ではありません。 大型株で80%超、中小型株では62%です。4割近くのファンドが勝っていることになります。

つまり「プロは全部負ける」わけではなく、どの市場で戦うかで結果が違います。

それでも、オルカンやS&P500を積み立てている私たちにとっては上の3つがいちばん効く数字です。同じ土俵で、10年勝ち続けたプロがいなかったからです。

1年だけでも似た結果でした

2025年の1年間だけを見ても、こうです。

ファンドの種類 2025年に負けた割合
米国株式 89%
国際株式 88%
新興国株式 88%
グローバル株式 87%
日本の中小型株 80%
日本の大型株 49%

日本の大型株だけは、半分が勝ちました。2017年以来のよい成績だそうです。

ただしその日本の大型株でも、10年・15年で見ると80%超が負けています。 良い年はあっても、続かないということです。

4. なぜ、プロでも勝てないのか

理由は2つあると考えています。

① 手数料の差が、毎年効いてくる

アクティブファンドは、調査する人や運用する人を抱えています。その費用は信託報酬として、私たちが毎年払います。

私が調べた範囲では、オルカンの信託報酬は年0.058%、S&P500は年0.077%でした。いっぽうアクティブファンドには、信託報酬1.5%に隠れコストを足して、実質2%近い商品もあります。

毎年1%以上のハンデを背負って、市場平均と競争していることになります。10年、20年と続けば、差は開く一方です。

コストの見方はオルカンとS&P500の実質コスト比較に書きました。

② 勝ち続ける必要がある

1年勝つだけなら、運でもできます。でも10年勝ち続けるのは別の話です。

上の表がまさにそれで、1年なら日本の大型株で半分が勝ちました。それが10年になると、80%超が負けに変わります。

「今年よかったファンド」を見て買うと、その良さが続かないほうに賭けることになります。

5. 私も、予想を信じて動いたことがあります

えらそうに書いてきましたが、私自身が予想に振り回されてきました。

「安くなったら買おう」で、買えなくなった

過去に「株価が高いから、安くなったらボーナスで買おう」と考えていた時期があります。株価は最高値、円安も進んでいて、今は損をすると思っていました。

結果は、待っている間にどんどん値上がりしました。しかも上がってしまうと、今度は「余計に買いにくい」と感じます。待つほど買えなくなりました。

この話は「安くなったら買おう」で失敗した話に詳しく書いています。

SNSの景気のいい話に動かされた

もっと前には、FXも仮想通貨も、個別株の短期売買も試しました。

きっかけは、SNSで流れてくる「今日は〇万円勝った」「この通貨が10倍になった」という話でした。あれも一種の予想です。

結果は、利益は小さく、損は大きく。下がるチャートに向かって「戻ってくれ」と祈っていました。この話はFX・仮想通貨・短期トレードをやめた話に書いています。

どちらも、自分か誰かの予想を信じて動いた結果です。 そして、どちらもうまくいきませんでした。

6. 予想を使わない仕組みにする

予想が当たらないなら、予想がいらない形にすればいいというのが、今の私の考えです。

具体的には3つです。

やること なぜ
積立の設定をして、あとは触らない 買うタイミングを自分で決めない
インデックスファンドを選ぶ 「勝つファンド」を当てにいかない
相場のニュースで設定を変えない 予想が入り込む余地をなくす

ポイントは「がんばらない」ことではなく、「がんばりどころを変える」ことです。

予想を当てにいくのをやめて、手数料の低い商品を選ぶ・積立を続けるといった、自分でコントロールできることに時間を使う。これなら結果が運に左右されません。

始め方はインデックス投資とは?にまとめています。

ニュースを見てはいけない、ではありません

私も経済ニュースは見ます。見るのと、それで売買するのは別です。

暴落の予想を聞いて不安になったときの対処は、暴落が来ても売らないに書きました。

まとめ

「猿のダーツ」はマルキールの本の話(投資・1973年)
「チンパンジー並み」はテトロックの研究の話(政治と経済の予測・別物)
「チンパンジーが専門家に勝った」は盛られた表現。正しくは「単純な方法と大差なかった」
日本のグローバル株・国際株・新興国株のアクティブファンドは、10年で100%がインデックスに負けた
日本の大型株は2025年こそ半分が勝ったが、10年・15年では80%超が負け
予想を当てにいくのをやめて、仕組みで続ける

プロが10年勝てない勝負に、私が勝てるとは思えません。 だから私は予想を追いかけるのをやめました。

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一緒に少しずつ学んでいきましょう!


てどりん
てどりんひとこと 全世界株で10年100%には驚きました。日本株は4割近く勝っているので、市場で差が出るんですね。

※この記事は個人の感想です。SPIVAの数値は2025年12月末時点の集計で、今後変わります。過去の実績は将来の成果を約束するものではありません。特定の商品をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。