こんにちは、てどりんです。

「毎月お金が入ってくる投資信託」は魅力的に見えます。

年金のように毎月振り込まれるので、老後の生活費に使えそうだと思うのは自然です。

でも私は使いません。同じ金額を受け取るなら、インデックスを自分で売ったほうが手取りが多くなるからです。

計算してみたら、20年で775万円ちがいました。

この記事は、ネット証券で買う前提です。 購入時手数料はどちらもゼロなので、差がつくのは「信託報酬」と「税金のかかり方」だけになります。

まず結論

毎月分配型 インデックスの定期売却
税金がかかる範囲 普通分配金は全額 売った金額のうち利益の部分だけ
税の繰延べ 効かない(毎回課税される) 効く(売るまで課税されない)
信託報酬(今回の例) 年1.903% 年0.05775%

受け取る金額が同じでも、手元に残る額が変わります。


比べた2本のファンド

具体的な商品で見たほうがわかりやすいので、実在する2本を使います。

毎月分配型 インデックス
ファンド インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)
愛称「世界のベスト」
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
愛称「オルカン」
決算 年12回 年1回
信託報酬 年1.903% 年0.05775%
購入時手数料 ネット証券なら無料 無料

出典:投資信託協会「投資信託総合検索ライブラリー」(オルカンはこちら)。2026年8月時点。

※ 世界のベストは目論見書上「3.00%以内」ですが、楽天証券では買付手数料なしで購入できます。この記事はネット証券で買う前提なので、購入時手数料はどちらもゼロとして扱います。

信託報酬の差は年1.845ポイント。

1,000万円を持っているなら、毎年18万4,525円の差です。これが毎年、資産から差し引かれます。

(コストの見方は実質コストの比較にも書きました)


いちばん大きいのは、税金のかかり方?

ここが本題です。

毎月分配型:普通分配金は全額に課税

分配金には2種類あります。

種類 課税
普通分配金 全額が課税対象(20.315%)
元本払戻金(特別分配金) 非課税(元本が戻ってきただけなので)

運用がうまくいって「普通分配金」が出ると、その全額に税金がかかります。

参考:日本証券業協会「普通分配金と特別分配金の違いってなに?」(現在は金融経済教育推進機構が公開)

40万円の普通分配金なら、約8.1万円が税金です。

定期売却:課税されるのは利益の部分だけ

一方、投資信託を売ったときに課税されるのは「売った金額 − その分の取得費」です。

売った金額の中には、自分が出した元本も含まれています。 その部分には税金がかかりません。

具体例で見ます。1,000万円が1,060万円に増えた時点で、40万円を売った場合です。

金額
売った金額 40万円
うち元本の部分 約37.7万円(非課税)
うち利益の部分 約2.3万円
税金 約4,600円

同じ40万円を受け取っても、税金は8.1万円と0.46万円。17倍以上ちがいます。


20年間のシミュレーション

私の試算です。前提はこう置きました。

項目 前提
元本 1,000万円
受け取り 毎年ちょうど40万円(どちらも同額)
運用(信託報酬を引く前) 年6%
期間 20年
税率 20.315%
購入時手数料 どちらもゼロ(ネット証券前提)

結果

20年で払った税金 受け取った手取り 20年後の残高 合計
オルカンを定期売却 69万円 731万円 1,710万円 2,441万円
世界のベストで分配金 163万円 637万円 1,029万円 1,667万円
差 ▲94万円 +94万円 +681万円 +775万円

20年で775万円の差がつきました。

※ 私の試算です。両方とも毎年ちょうど40万円を受け取る条件でそろえて計算しています。実際のリターンは変動し、この通りになる保証はありません。

差の内訳を分けてみました

この775万円は、何で説明できるのか。 信託報酬をそろえて計算し直してみました。

要因 差への寄与
信託報酬の差 665万円(86%)
税金のかかり方の違い 109万円(14%)

私は税金の差がいちばん大きいと思っていました。 でも計算してみると、差の大部分は信託報酬から生まれていました。


差がついた理由は3つ

① 税金が94万円ちがう

毎年40万円を受け取る条件は同じなのに、払った税金は163万円と69万円でした。

毎月分配型は毎回まるごと課税されます。定期売却は利益の部分だけです。

ただし、これは差の14%にすぎません。

② 税の繰延べが効かなくなる

これが見落とされやすい点です。

税金を払うと、その分のお金は運用から抜けます。 抜けたお金は、その後もう増えません。

毎月分配型 毎年8.1万円が抜ける。20年で163万円が運用から消える
定期売却 売るまで課税されない。売っていない分は増え続ける

「税金を後払いにできる」こと自体が、リターンになります。

これはNISAの枠が復活する話を書いたときにも出てきた考え方で、お金を市場に置いておく時間が長いほど有利という積立日の記事とも同じ理屈です。

③ 信託報酬が年1.845ポイントちがう ← これが最大の要因

1,000万円なら年18万4,525円です。

そして差し引かれたお金は、その後もう増えません。 引かれた分が複利で効かなくなるため、20年では単純な足し算よりずっと大きくなります。

775万円の差のうち、665万円がこれでした。

税金の差よりも、信託報酬の差が大きいということがわかりました。


それでも毎月分配型が選ばれる理由

気持ちはわかります。 理由は2つあると思っています。

「自分で売る」のが面倒・怖い
毎月お金が入ってくると安心する

後者は本物のメリットです。数字に出ない価値があります。

でも前者は解決できます。

いまは多くの証券会社に「定期売却サービス」があります。 一度設定すれば、毎月自動で売却して振り込んでくれます。毎月分配型と、手間はほとんど変わりません。

なおネット証券なら、どちらの商品も購入時手数料はかかりません。 対面の窓口だと購入時に数%取られることがありますが、ネットで買えばその差はゼロです。だからこそ、残る差は信託報酬と税金だけになります。

NISAの出口戦略で書いた4%ルールも、この機能を使えば自動でできます。


私の考え

「毎月お金が入る」という仕組みにお金を払っている——それが毎月分配型だと思っています。

年1.903%の信託報酬と、繰延べを捨てる税負担。その対価が「自分で売らなくていい」という安心感です。

自動売却の設定が5分でできる時代に、その対価は高すぎるというのが私の結論です。


注意点

この記事の比較には、前提と限界があります。

すべて私の試算です。実際の運用成績とは異なります
分配金がすべて普通分配金になる前提で計算しています。運用が振るわず元本払戻金になれば、その分は非課税です(ただしそれは元本が減っているだけです)
NISA口座内なら、どちらも非課税です。この記事は特定口座での話です
信託報酬は2026年8月時点のもので、変更されることがあります
ネット証券で買う前提です。対面の窓口では購入時手数料がかかる場合があり、その分さらに差が開きます
特定の商品を批判する意図はありません。仕組みの違いを比べたものです

とくに2つ目は大事なので補足します。 毎月分配型の分配金が非課税だった場合、それは「税金がかからなくてよかった」ではなく「自分のお金が戻ってきただけ」です。


まとめ

覚えておくこと
普通分配金は全額課税。売却なら利益の部分だけ
毎月課税されると、税の繰延べが効かなくなる
信託報酬の差は年1.845ポイント(1,000万円で年18万円)
同じ40万円を受け取って、20年で775万円の差
差の86%は信託報酬、14%は税金だった
ネット証券なら購入時手数料はどちらもゼロ。差は信託報酬と税金だけ
定期売却サービスを使えば、手間はほとんど変わらない

「毎月お金が入る」という体験は、自分で作れます。

なお「では、その定期売却は毎月にすべきか、年1回にまとめるべきか」は、また別の問題です。同じ年40万円を売る条件で20年計算したところ、合計では年1回のほうが約37万円多く残りました。 詳しくは定期売却は毎月と年1回どっちが得?に書いています。

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一緒に少しずつ学んでいきましょう!


てどりん
てどりんひとこと 毎月お金が入ってくる安心感は本物だと思います。でもその安心を、年1.9%の手数料と余分な税金で買っているとしたら、少し高いのではないでしょうか。同じことは、自動売却の設定で作れます。

※この記事は個人の感想です。試算は筆者による概算であり、将来の運用成果を保証するものではありません。特定の金融商品を推奨・批判するものではありません。投資には元本割れのリスクがあります。投資判断はご自身の責任でお願いします。