こんにちは、てどりんです。
前回、毎月分配型より定期売却のほうがいいという記事を書きました。
すると次の疑問が出てきます。
「では、毎月売るのと年1回まとめて売るのは、どっちが得なのか」
受け取る金額が同じなら、回数はどちらでもよさそうに思えます。計算してみたら、少しだけ差がありました。
まず結論
| どちらが多く残るか | 年1回 |
| 差はどれくらい | 20年で約37万円(元本1,000万円) |
| 税金だけ見ると | 毎月のほうが有利 |
| それでも年1回が勝つ理由 | お金が市場に残る時間が長いから |
| 実際どうすべきか | 毎月必要なら、毎月でいい |
差は小さいです。 結論を先に言えば「気にするほどではない」という話になります。
計算の前提
私の試算です。回数以外はすべて同じ条件にしました。
| 項目 | 前提 |
|---|---|
| 元本 | 1,000万円 |
| 売る金額 | 年間ちょうど40万円(回数が変わっても年間額は同じ) |
| 運用 | 年6%(信託報酬0.05775%を引いた後で計算) |
| 期間 | 20年 |
| 口座 | 特定口座 |
| 税率 | 20.315% |
税率の内訳は所得税15%+住民税5%で、これに復興特別所得税(所得税額の2.1%)が加わります。15%×1.021+5%=20.315%です。
出典:国税庁「No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)」
結果
| 売る回数 | 20年で払った税金 | 受け取った手取り | 20年後の残高 | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 年1回(1回40万円) | 68.9万円 | 731.1万円 | 1,710.1万円 | 2,441.2万円 |
| 年2回(1回20万円) | 67.5万円 | 732.5万円 | 1,688.6万円 | 2,421.1万円 |
| 年4回(1回10万円) | 66.8万円 | 733.2万円 | 1,677.9万円 | 2,411.0万円 |
| 毎月(1回3.3万円) | 66.4万円 | 733.7万円 | 1,670.6万円 | 2,404.3万円 |
年1回との差はこうなりました。
| 差 | |
|---|---|
| 年2回 | ▲20.0万円 |
| 年4回 | ▲30.1万円 |
| 毎月 | ▲36.9万円 |
回数を増やすほど、少しずつ減っていきます。
税金だけ見ると、毎月のほうが有利です
ここが意外なところでした。
| 20年で払った税金 | |
|---|---|
| 年1回 | 68.9万円 |
| 毎月 | 66.4万円(2.5万円少ない) |
毎月のほうが税金は少なくて済みます。
理由は取得費の計算方法にあります。
投資信託を一部だけ売ったとき、課税されるのは「売った金額 − その分の取得費」です。この取得費は総平均法に準ずる方法で計算されます。
出典:国税庁「No.1466 同一銘柄の株式等を2回以上にわたって購入している場合の取得費」
むずかしく考えなくて大丈夫です。 要するに「売った口数の割合だけ、元本も一緒に取り崩される」ということです。
こまめに売ると、1回あたりの値上がり幅が小さいうちに売ることになります。だから1回ごとの利益が小さくなり、税金も少なくなります。
それでも年1回が勝つ理由
税金以外のところで、差がついています。
税金をゼロと仮定して計算し直してみました。
| 20年後の残高(税ゼロの場合) | |
|---|---|
| 年1回 | 1,710.1万円 |
| 毎月 | 1,670.6万円 |
| 差 | 39.4万円 |
税金がなくても、差は残ります。 つまり税は原因ではありません。
原因は「お金が市場に残る時間」
| 年1回 | 1年ぶん増やしてからまとめて引き出す |
| 毎月 | 1年のうち平均して半年ぶん早くお金が抜けていく |
早く抜けたお金は、その後もう増えません。
これは積立日は早いほうがいいで書いたことの、ちょうど裏返しです。
| 買うとき | 早いほうがいい(早く市場に置ける) |
| 売るとき | 遅いほうがいい(長く市場に置ける) |
どちらも「市場に置く時間を長くする」という同じ原則です。
税では毎月が2.5万円有利。でも「早く抜ける」不利が39.4万円。 差し引きで年1回の勝ちになります。
運用成績が良いほど、差は開きます
前提を変えて確かめました。
| 運用 | 年1回 | 毎月 | 差 |
|---|---|---|---|
| 年3% | 1,476.5万円 | 1,463.8万円 | +12.7万円 |
| 年6% | 2,441.2万円 | 2,404.3万円 | +36.9万円 |
| 年9% | 4,224.1万円 | 4,145.1万円 | +79.0万円 |
どの前提でも、年1回が勝ちました。
そしてよく増える相場ほど、差は大きくなります。 市場に置いておく時間の価値が上がるからです。
では、どうすればいいか
差は20年で37万円。元本1,000万円に対して0.37%です。
1年あたりにすると約1.8万円でした。
| こういう人 | おすすめ |
|---|---|
| 生活費として毎月必要 | 毎月で構いません。差は小さい |
| まとめて受け取っても困らない | 年1回がわずかに有利 |
| 決めかねている | 年1回か年2回にしておく |
毎月の生活費に使うお金を、無理に年1回にまとめる必要はありません。
年1回で受け取ると、そのお金を1年かけて使うことになります。 手元に大きな金額があると使ってしまう人にとっては、毎月のほうが安全かもしれません。0.37%はその保険料だと考えれば、高くはないはずです。
気にする順番を間違えないこと
最後に、いちばん大事なことを書きます。
| 比べたもの | 差 |
|---|---|
| 毎月分配型 vs 定期売却 | 775万円 |
| 毎月売却 vs 年1回売却 | 37万円 |
回数で悩むより、そもそも定期売却を選ぶことのほうが20倍重要です。
さらに言えば、取り崩す金額を何%にするかのほうが、回数よりはるかに効きます。
細かいところを詰める前に、大きいところを決める。 これは有名なポートフォリオの記事でも書いた考え方と同じです。
この試算の限界
すべて私の試算です。次の点を含んでいません。
| 相場は毎年一定では動きません。年6%は平均であって、実際は上下します |
| 売るタイミングの相場によって、結果は変わります |
| NISA口座内なら課税されないので、税の部分はそのまま当てはまりません |
| 証券会社によっては定期売却の頻度が選べないことがあります |
| 税制は変わることがあります |
まとめ
| 覚えておくこと |
|---|
| 年1回のほうが、20年で約37万円多く残る |
| 税金だけ見れば毎月が有利(2.5万円) |
| それでも負けるのは、お金が早く抜けるから |
| 買うときは早く、売るときは遅く。同じ原則 |
| 差は0.37%。毎月必要なら毎月でいい |
回数は、決められないなら年1回。それだけ覚えておけば十分です。
関連記事:
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- 株式は220年で年率6.9% — 市場に置く時間の価値
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一緒に少しずつ学んでいきましょう!
※この記事は個人の感想です。試算は筆者による概算であり、将来の運用成果を保証するものではありません。税制は2026年8月時点のもので、変更される可能性があります。投資には元本割れのリスクがあります。投資判断はご自身の責任でお願いします。