こんにちは、てどりんです。
突然ですが質問です。あなたの給料は、去年から何%上がりましたか?
上がったとしても、物価はそれ以上に上がっていないでしょうか。「給料は少し増えたのに、生活は楽にならない」——そう感じている会社員は多いと思います。
この状況を説明するときによく出てくる言葉が r>g です。
私は月15万円を積み立てていて、資産が増えるにつれて「働いて入れるお金より、お金が増えるほうが速い」と感じる場面が出てきました。この記事では、r>gの意味と、資産がいくらになると入金より運用で増える額のほうが大きくなるのかを計算してまとめます。
r>gとは何か
r>g は、フランスの経済学者トマ・ピケティが著書『21世紀の資本』で示した不等式です。
- r:資本収益率。株や不動産などの資産が、1年に何%の利益を生むか
- g:経済成長率。国全体の所得が、1年に何%増えるか
ピケティは、長い歴史で見るとr(資産から得られる利益の率)が、g(経済全体の伸び)を上回ってきたと示しました。資産のrは、歴史的に年4〜5%くらいだとしています。
給料は、だいたい国全体の所得の伸び(g)に沿って増えます。つまり、こう言い換えられます。
働いて稼ぐお金が増える速さより、資産が増える速さのほうが速い
これは資産家だけの話ではありません。インデックス投資を続けている普通の会社員も、時間がたつほど実感する話です。
ちなみに、アメリカのS&P500は1928年から2025年までの98年間で、配当込み・ドル建てで年平均10.0%、物価の上昇を引いた実質で年平均6.8%でした。
日本の r と g の現実
日本の給料は、ここ数年で名目では増えています。でも、物価の上昇を引いた実質では、4年続けて下がっています。
| 年 | 名目賃金 | 実質賃金 |
|---|---|---|
| 2022年 | +2.0% | −1.0% |
| 2023年 | +1.2% | −2.5% |
| 2024年 | +2.8% | −0.3% |
| 2025年(速報) | +2.3% | −1.3% |
出典:厚生労働省「毎月勤労統計調査 年平均結果の推移(2025年分結果速報)」。現金給与総額、事業所規模5人以上。
給料の数字が増えても、買えるものは減っています。現金で持っているだけでも、同じように価値が目減りしていきます。
資産がいくらになると、入金より運用が効いてくるか
ここからが、この記事でいちばん書きたかったことです。
積み立てを始めたばかりのころは、資産が増える理由のほとんどは自分の入金です。でも資産が大きくなると、運用で増える額のほうが大きくなっていきます。
その境目は、簡単な割り算で出せます。
運用で増える額 = 入金額 になる資産 = 1年の入金額 ÷ 期待リターン
| 毎月の入金 | 年5%で増える場合 | 年7%で増える場合 |
|---|---|---|
| 月5万円(年60万円) | 1,200万円 | 約860万円 |
| 月10万円(年120万円) | 2,400万円 | 約1,710万円 |
| 月15万円(年180万円) | 3,600万円 | 約2,570万円 |
| 月20万円(年240万円) | 4,800万円 | 約3,430万円 |
この資産額を超えると、平均的な年なら、運用で増える額が1年の入金額より大きくなります。年3%で考えると、どれも年5%の1.7倍ほどの資産額になります。
月15万円の私の場合
私の積み立ては、NISA月10万円と企業型DC月5万円で、合わせて月15万円です。年5%で考えると、段階はこうなります。
| 段階 | 資産の目安 | どうなるか |
|---|---|---|
| ① 値動きが入金を超える | 約900万円 | 1年の上がり下がりが、1年分の入金(180万円)より大きくなる |
| ② 運用益が入金と並ぶ | 約3,600万円 | 平均的な年なら、入金と同じだけ運用で増える |
| ③ 入金の影響が小さくなる | 約7,200万円 | 運用益が入金の2倍。増える額の3分の2が運用から来る |
①はS&P500の1年ごとのリターンのばらつき(1928〜2025年で約19%)をもとにした目安です。
「入金力の影響が小さくなってきた」と言えるのは、②の約3,600万円あたりからです。③まで来ると、入金を止めても資産の増え方はそれほど変わりません。
おもしろいことに、私の目標の立て方とほぼ重なっていました。FIREの目標額は6,000万円で中間目標が3,000万円なので、中間目標がほぼ②、FIREの目標がほぼ③です。
ゼロから月15万円を年5%で積み立てた場合、②の3,600万円に届くまでは約14年かかります。
ただし、平均すればの話
この表は、毎年平均どおりに増えた場合の計算です。実際には、S&P500は98年のうち26年でマイナスでした。②を超えたあとでも、暴落の年には1年分の入金が丸ごと消えることがあります。シミュレーションどおりにいかない話は、年利7%を鵜呑みにしないに書きました。
私が r>g を体感した瞬間
投資を始めたころ、「資本が労働を上回る」という話は頭では分かっていました。でも実感はありませんでした。
変わったのは、資産がある程度の大きさになってからです。
ある2週間で、資産の増減が、その月の給料を超えていました。増える方向でも下がる方向でも、給料1か月分以上が数日で動きます。上の表でいうと、①の段階です。
さらに実感したのは、1年間の入金額より、資産の増加額のほうが大きくなったときです。
「自分が働いて入れる以上の速さで、お金がお金を生んでいる」
これが私にとってのr>gでした。教科書に書いてあったことが、自分の口座の数字に出てきた瞬間です。
複利が差を広げる
rとgの差が時間とともに広がる理由は複利です。運用で増えた分も一緒に運用されるので、増えた分がさらに増えます。
元本100万円を年7%で運用した場合です。
| 期間 | 資産額 | 増えた額 |
|---|---|---|
| 1年後 | 107万円 | +7万円 |
| 10年後 | 197万円 | +97万円 |
| 20年後 | 387万円 | +287万円 |
| 30年後 | 761万円 | +661万円 |
毎月積み立てる場合も同じです。月3万円を年7%で積み立てると、こうなります。
| 積立期間 | 積み立てた元本 | 運用後 |
|---|---|---|
| 10年 | 360万円 | 519万円 |
| 20年 | 720万円 | 1,563万円 |
| 30年 | 1,080万円 | 3,660万円 |
年7%はS&P500の長期の実質リターン(約6.8%)に近い目安です。将来の運用成果を約束するものではありません。
月3万円でも、30年で元本の3倍以上になります。そして30年目には、資産は上の表の月3万円の境目(年7%なら約510万円)をとっくに超えていて、増える額のほとんどが運用から来ています。
「投資しない選択」のコスト
月5万円を年7%で積み立てた場合、始める時期で30年後の資産はこれだけ変わります。
| 始める時期 | 積立期間 | 30年後の資産 |
|---|---|---|
| 今すぐ | 30年 | 6,100万円 |
| 10年後 | 20年 | 2,606万円(▲3,494万円) |
| 20年後 | 10年 | 866万円(▲5,234万円) |
10年遅れると、3,494万円の差になります。誰かに取られるわけではありません。「始めなかった」ことで、運用が入金を追い越す時期が10年遅れるだけです。でも、その差は数十年後に数千万円になって表れます。
焦る必要はありません。月1万円でも3万円でも、今日始めればその日から複利は動き出します。NISAなら運用で増えた分に税金もかかりません。
まとめ
- r>gは、資産から得られる利益の率(r)が、経済全体の伸び(g)を上回ってきたというピケティの指摘
- 日本の実質賃金は、2022年から2025年まで4年続けてマイナス
- 運用で増える額が入金と並ぶのは「1年の入金額÷期待リターン」の資産額。月15万円・年5%なら約3,600万円
- その2倍(約7,200万円)まで来ると、増える額の3分の2が運用から来る
- ただし平均の話。暴落の年には入金分が丸ごと消えることもある
※ 公式サイトへのリンクです
投資を始めるための次のステップ:
- FIRE目標金額の計算方法 — 目標額を自分で出したい方へ
- 年利7%を鵜呑みにしない — シミュレーションどおりには増えない、という話
- インデックス投資とは?S&P500が選ばれる理由 — 何に投資するかの基本
- NISAで月いくら積み立てればいい? — 積立額のシミュレーション
- 生活防衛費の目安と貯め方 — 投資を始める前に現金の土台を作りたい方へ
一緒に少しずつ学んでいきましょう!
出典:トマ・ピケティ『21世紀の資本』(みすず書房)、厚生労働省「毎月勤労統計調査 年平均結果の推移(2025年分結果速報)」、Aswath Damodaran「Historical Returns on Stocks, Bonds and Bills」(ニューヨーク大学、S&P500配当込みの年次リターン)、米セントルイス連邦準備銀行「FRED 消費者物価指数(CPIAUCNS)」。S&P500の実質リターン、ばらつき、各シミュレーションは筆者の計算です。
※この記事は個人の体験談・感想です。投資には元本割れのリスクがあります。投資判断はご自身の責任でお願いします。