こんにちは、てどりんです。
突然ですが質問です。あなたの手取り給与は、去年から何%上がりましたか?
日本の平均賃金の伸びはここ数十年でほぼ横ばいです。一方でインフレが進み、スーパーやコンビニの日々の出費はじわじわと増えています。
「給料は上がらないのに、物価だけが上がっていく」——そんな閉塞感を持っている会社員は多いと思います。
実は、この状況をひと言で表した経済学の概念があります。それが r>g です。
r>gとは何か
r>g(アール・グレーター・ザン・ジー)は、フランスの経済学者トマ・ピケティが著書『21世紀の資本』で示した不等式です。
- r(return):資本収益率。お金がお金を生む速さ。投資のリターン。
- g(growth):経済成長率。給与など労働所得が増えるスピード。
この不等式が意味するのは、**「資本(投資)から得られるリターンは、経済成長(給与の伸び)を歴史的に上回り続けてきた」**ということです。
言い換えると——
働いて稼ぐスピードより、資産が増えるスピードの方が速い
これは特別な資産家の話ではありません。インデックス投資をしている普通の会社員が、時間をかけるほど実感する現実です。
なお、ピケティが示したrは株式・不動産・債券などすべての資産クラスの平均収益率で、歴史的に約4〜5%とされています。一方、S&P500インデックスの長期実質リターンは年約7%と、ピケティのrをさらに上回ります。つまり個人投資家がインデックス投資を選べば、ピケティが示した格差拡大の「r側」に、より有利な条件で乗ることができます。
日本における r と g の現実
| 指標 | おおよその数値 |
|---|---|
| 日本の名目賃金の伸び(g) | 年0〜2%前後 |
| 日本の実質賃金(インフレ調整後) | 2022〜2024年で3年連続マイナス |
| S&P500の長期平均リターン(r) | 年約7%(インフレ調整後実質・配当込み) |
日本の名目賃金は2024年に約3%上昇しましたが、それ以上に物価が上がったため、実質賃金は3年連続でマイナスです。つまり給与明細の数字が増えても、実際に買えるものは減っています。
現金を持っているだけでは物価上昇分だけ価値が目減りします。一方でS&P500などのインデックスに積立投資を続ければ、長期平均で年約7%の実質リターンが期待できます。この差が、投資している人とそうでない人の間に、じわじわと広がっていきます。
私が r>g を体感した瞬間
投資を始めた頃、「資本が労働を上回る」という概念は頭では理解していました。でも実感はありませんでした。
それが変わったのは、資産規模が一定以上になってからです。
ある2週間で、資産の含み益の増減が、その月の給料を超えていました。
増える方向でも下がる方向でも、給料1か月分以上が数日で動く。
さらに実感したのは、年間の入金額より、資産の増加額の方が大きくなったときです。
「自分が働いて入金する以上のスピードで、お金がお金を生んでいる」
これが r>g の実感です。教科書に書いてあることが、数字として自分のポートフォリオに現れた瞬間です。
複利が差を指数関数的に広げる
r>gの差が時間とともに拡大する理由が複利です。
複利とは、運用で得た利益を元本に加えて再投資することで、利益が利益を生む仕組みです。
たとえば元本100万円・年利7%の場合:
| 期間 | 資産額 | 増加額 |
|---|---|---|
| 1年後 | 107万円 | +7万円 |
| 10年後 | 197万円 | +97万円 |
| 20年後 | 387万円 | +287万円 |
| 30年後 | 761万円 | +661万円 |
元本100万円が、30年で761万円になります。増えた661万円は、一度も働かずに生まれた「資本のリターン」です。
月の積立額別 複利シミュレーション(年利7%)
毎月一定額を積み立て続けた場合の試算です。
| 積立期間 | 月3万円 | 月5万円 | 月10万円 | 月15万円 | 月30万円 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1年 | 37万円 | 62万円 | 124万円 | 186万円 | 372万円 |
| 3年 | 120万円 | 200万円 | 400万円 | 599万円 | 1,199万円 |
| 5年 | 215万円 | 358万円 | 716万円 | 1,074万円 | 2,149万円 |
| 10年 | 519万円 | 866万円 | 1,731万円 | 2,597万円 | 5,194万円 |
| 15年 | 951万円 | 1,585万円 | 3,171万円 | 4,756万円 | 9,512万円 |
| 20年 | 1,564万円 | 2,606万円 | 5,212万円 | 7,818万円 | 1億5,636万円 |
| 30年 | 3,660万円 | 6,100万円 | 1億2,200万円 | 1億8,301万円 | 3億6,601万円 |
元本(積み立てた金額の合計)と比べてみます。
| 積立期間 | 月3万円(元本) | 月3万円(運用後) | 複利の恩恵 |
|---|---|---|---|
| 10年 | 360万円 | 519万円 | +159万円 |
| 20年 | 720万円 | 1,564万円 | +844万円 |
| 30年 | 1,080万円 | 3,660万円 | +2,580万円 |
月3万円の積立でも、30年で元本の3倍以上になります。増えた2,580万円は、一切働かずに得た「資本のリターン」です。
※年利7%はS&P500の長期平均リターン(インフレ調整後実質)をもとにした目安です。将来の運用成果を保証するものではありません。
「投資しない選択」のコストを数字で見る
「怖い」「まだ早い」「そのうち始めよう」——そう思っている間にも、r>gは機能し続けています。
月5万円を年利7%で積み立てた場合、開始タイミングによる差は次のようになります。
| 開始タイミング | 積立期間 | 30年後の資産 |
|---|---|---|
| 今すぐ開始 | 30年 | 6,100万円 |
| 10年後に開始 | 20年 | 2,606万円(▲3,494万円) |
| 20年後に開始 | 10年 | 866万円(▲5,234万円) |
10年の遅れが、3,494万円の差を生みます。
誰かに取られるわけでも、損をするわけでもありません。「始めなかった機会を失った」だけです。でもその損失は、数十年後に数千万円という形で現れます。
インフレが続く社会では、現金の価値が目減りする分も加わります。投資しないことは「安全」ではなく、ゆっくりと実質的な資産が目減りしていく選択でもあります。
でも、今から始めれば十分間に合う
ここまで読んで、「もっと早く始めればよかった」と感じた方もいるかもしれません。
焦る必要はありません。複利は今日始めた瞬間から動き始めます。
10年後に始めるより、今日始めた方が確実にいい。最初は月1万円でも3万円でも構いません。NISAを使えば運用益に税金がかかりません。r>gの恩恵を受けながら、税制面でも有利に資産を育てられます。
「投資は難しそう」と思っているなら、まず口座を開設するだけで十分です。開設しても積立を始める義務はありません。でも口座がなければ、r側に乗ることすらできません。
まとめ
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| r>g の意味 | 資本のリターン(r)は、労働所得の伸び(g)を歴史的に上回り続けてきた |
| インフレの現実 | 現金を持つだけでは購買力が目減りし続ける |
| 複利の力 | 月3万円×30年でも元本1,080万円が3,660万円になる |
| 始めるのが遅れると | 月5万円で10年の遅れが▲3,494万円の差になる |
| 結論 | 今日始めることが、いつか始めるより常に有利 |
r>gという概念を知ったとき、「これは投資しなければいけない」と強く感じました。
給与が上がりにくい時代に、インフレで物価が上がり続ける時代に、資本を育てることはもはや「余裕のある人のやること」ではありません。
今からでも間に合います。まずは一歩だけ踏み出してみてください。
投資を始めるための次のステップ:
→ インデックス投資とは?S&P500が選ばれる理由(何に投資するかの基本を知りたい方へ)
→ NISAを始めた話(口座開設の手順を確認したい方へ)
→ NISAの銘柄選びの基準(S&P500とオルカンで迷っている方へ)
→ FIRE目標金額の計算方法(r>gを活かした長期目標を立てたい方へ)
→ 生活防衛費の目安と貯め方(投資を始める前に現金の土台を作りたい方へ)
一緒に少しずつ学んでいきましょう!
※この記事は個人の体験談・感想です。投資には元本割れのリスクがあります。投資判断はご自身の責任でお願いします。