こんにちは、てどりんです。

「大きな病気になったら、医療費がいくらかかるかわからなくて不安」

こういう不安から、民間の医療保険に入っている方は多いと思います。

でも、日本には高額療養費制度という公的な仕組みがあります。これを知っているだけで、医療費への不安はかなり和らぎます。

この記事では、高額療養費制度の仕組み・現行の上限額・2026年と2027年に予定されている変更点をまとめました。


高額療養費制度とは

高額療養費制度とは、1ヶ月の医療費(自己負担額)が一定の上限を超えた場合、超えた分が後から払い戻される制度です。

会社員なら健康保険、自営業なら国民健康保険に加入していれば、誰でも対象になります。

たとえば手術や入院で医療費が100万円かかっても、3割負担で30万円。さらに高額療養費制度の上限(一般的な会社員なら約8万円)を超えた分は後から戻ってきます。実質の自己負担は数万円〜10万円程度に収まるのです。

高額療養費制度の仕組み:医療費が高額になっても自己負担に上限がある

現行の自己負担上限額(2026年7月まで・70歳未満)

上限額は年収(所得)によって異なります。

区分 年収の目安 月の自己負担上限
約1,160万円以上 252,600円+α
約770〜1,160万円 167,400円+α
約370〜770万円 80,100円+α
約370万円以下 57,600円
オ(住民税非課税) 35,400円

※「+α」は医療費が高額になった場合の加算分(1%)です。

多くの会社員は区分ウ(月の上限 約80,100円)に該当します。どんなに高額な治療を受けても、1ヶ月の自己負担はこの金額を大きく超えることはありません。


対象外になるものに注意

高額療養費制度が適用されない費用もあります。

  • 入院中の食事代(1食あたり460円など)
  • 差額ベッド代(個室・少人数部屋を希望した場合)
  • 先進医療の技術料
  • 保険外の診療費

入院が長引くと食事代だけでも積み上がりますし、差額ベッド代は病院によって1泊数千〜数万円になることもあります。制度の上限額とは別にかかる費用として覚えておきましょう。

先進医療について:保険のセールストークに惑わされない

民間の医療保険の営業では「先進医療は高額療養費制度の対象外で、数百万円かかることもある」という説明がよく使われます。

ただ、先進医療には2つの大きな前提があります。

1つ目は、先進医療を受けられる医療機関は限られているという点です。先進医療は厚生労働省が指定した特定の病院でしか受けられません。自分が病気になったときに、その治療を行う病院が近くにあるとは限りませんし、そもそも自分で探して受診するのは現実的ではないケースがほとんどです。

2つ目は、先進医療とは「まだ効果が十分に確認されていない医療」という点です。先進医療は保険適用を目指して臨床試験・評価中の段階にある治療です。つまり「最先端で効果的な治療」ではなく「まだ評価が定まっていない治療」という意味合いが強い。

こうした背景を知ると、「先進医療のために民間保険が必要」という判断は、慎重に考えた方がいいと思っています。


多数回該当:長期治療のある方は確認を

同じ年度(8月〜翌7月)内に、高額療養費の支給が3回以上あった場合、4回目から上限額がさらに下がります。これを「多数回該当」といいます。

区分ウの場合、通常の上限は約80,100円ですが、多数回該当になると44,400円になります。

がん治療など継続して高額な医療が続く場合には、この仕組みが助けになります。


2026年8月から:上限額が引き上げられます

高額療養費制度の自己負担上限額は、2026年8月から引き上げられます

全所得区分で4〜7%程度の引き上げが予定されています。たとえば区分ウ(年収370〜770万円)の上限は、現行の約80,100円から約85,800円になります。

区分 現行(〜2026年7月) 2026年8月〜
252,600円+α 引き上げ
167,400円+α 引き上げ
80,100円+α 約85,800円+α
57,600円 引き上げ
オ(住民税非課税) 35,400円 小幅引き上げ

引き上げ幅は区分によって異なります。詳細は厚生労働省の公式ページでご確認ください。

また、2026年8月から年間の自己負担に上限を設ける配慮措置も導入される予定です。長期にわたって治療が続く方への負担軽減が目的です。


2027年8月から:所得区分が細分化されます

2027年8月には、さらに大きな見直しがあります。現在5段階の所得区分が12〜13段階に細分化されます。

所得に応じてより細かく上限額が設定されるため、高所得者の上限は上がり、低所得者への影響は抑えられる方向です。たとえば年収約650〜770万円の方では、月の上限が約11万円程度になる見込みです。

住民税非課税世帯については、第2段階では引き上げの対象外となる予定です。

詳細は2027年に向けて確定していくため、引き続き公式情報を確認するようにしてください。


限度額適用認定証を使うと窓口払いが楽になる

高額療養費制度は本来、後から払い戻される仕組みです。一度は窓口で高額を払い、数ヶ月後に還付されます。

これを事前に防ぐ方法が限度額適用認定証の取得です。加入している健康保険に申請することで、病院の窓口での支払いを最初から上限額までに抑えられます。

入院が決まったタイミングで健康保険証と一緒に申請しておくと、まとまった現金を準備する必要がなくなります。


会社の健康保険組合はさらに手厚いことがある

勤務先が健康保険組合に加入していれば、付加給付という追加の補助がある場合があります。

高額療養費制度の上限からさらに会社が上乗せ補助してくれる仕組みで、会社によっては月の自己負担が2〜3万円以下に収まることもあります。

自分の会社の健康保険組合に付加給付があるかどうかは、健保組合のホームページや人事部門に確認できます。


生活防衛費があれば、民間医療保険は不要

高額療養費制度の対象外として挙げた差額ベッド代・食事代は、生活防衛費から賄えます

たとえば1ヶ月入院したとして、食事代(1日3食×460円×30日)は約41,000円。差額ベッド代も大部屋を選べばゼロ、個室でも数万〜十数万円の範囲に収まることがほとんどです。これらは高額療養費の上限額と合わせても、生活費数ヶ月分の現金があれば十分に対応できる金額です。

つまり、整理するとこうなります。

  • 高額な治療費 → 高額療養費制度でカバー
  • 食事代・差額ベッド代 → 生活防衛費でカバー
  • 先進医療 → 受けられる病院を自分で探すのが非現実的、かつ効果未確定

生活防衛費がしっかり貯まっていれば、民間の医療保険は基本的に不要です。

逆にいえば、民間医療保険が検討に値するのは生活防衛費がまだ貯まっていない人だけだと私は考えています。現金の備えがない状態では、急な入院で家計が一気に厳しくなるリスクがあります。その期間だけの「つなぎ」として保険を使う考え方は理解できます。

ただし、生活防衛費が整ったら保険の必要性は大きく下がります。保険料を払い続けるより、その分を生活防衛費や投資に回す方が合理的です。

民間医療保険を不要と判断した詳しい経緯はこちらの記事に書いています。


まとめ

ポイント 内容
制度の概要 月の医療費自己負担に上限が設けられる
一般的な会社員の上限 約80,100円(2026年7月まで)
2026年8月〜 全区分で4〜7%程度引き上げ、年間上限も新設
2027年8月〜 所得区分が細分化、高所得者ほど上限が上がる
対象外の費用 食事代・差額ベッド代・先進医療など
事前申請 限度額適用認定証で窓口払いを抑えられる

高額療養費制度は、知っているだけで医療費への不安が変わります。自分がどの所得区分に該当するか、勤務先に付加給付があるかを一度確認してみてください。

急な入院や治療に備えるなら、まず生活防衛費として現金を確保しておくことが基本です。生活防衛費の目安と貯め方はこちらでまとめています。

関連記事:
医療保険はいらない?(高額療養費制度を知ったうえで民間保険の要否を考えたい方へ)
生活防衛費の目安と貯め方(医療費に備えた現金をいくら持つべきか知りたい方へ)
固定費の見直し方(保険料を含む固定費を全体的に見直したい方へ)

一緒に少しずつ学んでいきましょう!


てどりん
てどりんひとこと 高額療養費制度を知るまでは「大病したら破産するかも」と漠然と不安でした。上限額を知ってから、保険の考え方が変わりました。

※この記事は公開情報をもとにした解説です。制度の詳細・最新情報は厚生労働省の公式ページでご確認ください。医療・保険に関する個別判断は専門家にご相談ください。