こんにちは、てどりんです。

ある月、給与明細を去年の同じ月と見比べていて、ふと気づきました。

「あれ、厚生年金保険料の額が変わってる」

働き方は大きく変わっていないのに、天引きされる保険料が変わっている。気になって調べたら、私の「等級」が変わっていました。

このとき初めて、自分の標準報酬月額(ひょうじゅんほうしゅうげつがく)をちゃんと調べたのですが、やり方は拍子抜けするほど簡単でした。給与明細の厚生年金保険料を9.15%で割るだけです。

この記事では、その逆算のやり方と、調べてみて分かった「標準報酬月額が決めているもの」の多さについて書きます。


標準報酬月額とは:社会保険の世界の「あなたの月給」

標準報酬月額とは、社会保険料を計算するために使われる「基準となる月給」のことです。

実際の月給そのものではありません。給料をいくつかの区分(等級)に当てはめた、キリのいい金額です。たとえば実際の月給が29万円でも30万5千円でも、同じ「標準報酬月額30万円」の等級(報酬月額29万円以上31万円未満)に入ります。

  • 厚生年金保険:1〜32等級(標準報酬月額8.8万円〜65万円)
  • 健康保険:1〜50等級(同じ金額でも等級の番号は厚生年金と別)

毎月の健康保険料・厚生年金保険料は、実際の残業代に応じて毎月変わるのではなく、この標準報酬月額に保険料率を掛けて決まっています。だから普段の保険料は毎月同じ額なんです。


給与明細から逆算する方法:厚生年金保険料÷9.15%

自分の標準報酬月額を調べる方法はいくつかありますが、私がやったのは給与明細からの逆算です。手元の明細1枚と電卓があればできます。

なぜ厚生年金保険料を使うのか

厚生年金の保険料率は全国一律で18.3%、会社と本人で半分ずつ負担するので、本人負担は9.15%です。この率は固定されているので、逆算にぴったりなんです。

(健康保険料からも計算できますが、料率が都道府県や健康保険組合によって違うので、厚生年金の方が簡単です)

手順は3ステップ

  1. 給与明細の控除欄から「厚生年金保険料」の金額を探す
  2. その金額を0.0915で割る
  3. 出てきた金額に一番近い「標準報酬月額」を等級表で探す

たとえば、明細の厚生年金保険料が27,450円だったとします。

27,450円 ÷ 0.0915 = 300,000円

つまり標準報酬月額は30万円、厚生年金では19等級です。等級表は日本年金機構の保険料額表で確認できます。

逆算の注意点3つ

  1. 割り切れなくても大丈夫。端数処理の関係でぴったりにならないことがあります。答えに一番近い標準報酬月額が自分の等級です
  2. 標準報酬月額65万円で頭打ち。厚生年金は32等級(65万円)が上限なので、それ以上の月給の人は保険料が同じになり、この方法では正確に逆算できません。なお、この上限は2027年9月から段階的に引き上げられることが決まっています(68万円→71万円→2029年9月に75万円)
  3. 健康保険の等級番号とは別物。同じ標準報酬月額30万円でも、厚生年金と健康保険では等級の番号が違います。「等級」だけ聞いてもどちらの話か分からないので、金額(標準報酬月額)で覚えるのがおすすめです

私の場合:保険料の変化から等級の変化に気づいた

冒頭の話に戻ると、私は去年の明細と見比べて厚生年金保険料が変わっていることに気づき、逆算して等級が変わっていたことを確認しました。

原因は、時期から考えるとおそらく定時決定です。

社会保険料は、毎年4〜6月の給料の平均で標準報酬月額が決め直され、その年の9月から翌年8月まで適用されます。春に残業が多かったり昇給したりすると、9月からの保険料が1年間変わるという仕組みです。詳しくは社会保険料は4〜6月の給料で決まるに書いています。

ちなみに、昇給などで固定的な給料が大きく変わった場合は、9月を待たずに見直される随時改定という仕組みもあります(変わった月から3か月の平均で2等級以上の差が出た場合)。

「保険料が変わった気がする」と思ったら、去年の明細と見比べて逆算してみると、自分に何が起きたのかが数字で分かります。


標準報酬月額が決めているのは保険料だけじゃない

私が標準報酬月額をもう一度調べ直したのには理由があります。この数字が、保険料以外のいろいろなものまで決めていると知ったからです。

① 毎月の社会保険料

健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料(40歳から)は、すべて標準報酬月額×料率で決まります。

② 高額療養費の自己負担上限

医療費が高額になったときの高額療養費制度は、月の自己負担に上限を設けてくれる制度ですが、その上限額の区分は標準報酬月額で決まります(会社員の場合)。

区分 標準報酬月額 月の上限額(70歳未満)
83万円以上 270,300円+α
53万〜79万円 179,100円+α
28万〜50万円 85,800円+α
26万円以下 61,500円
住民税非課税 36,900円

2026年8月1日から適用されている金額です(7月までは順に252,600/167,400/80,100/57,600/35,400円でした)。出典:厚生労働省「高額療養費制度の見直しについて

この上限額は2026年8月1日から引き上げられました(区分ウは80,100円→85,800円)。詳しくは高額療養費制度の記事にまとめています。

自分の標準報酬月額を知っていれば、「もし入院したら月いくらまでか」が今日の時点で分かるということです。私はこれを知って、いざという時の備え(生活防衛費)の目安がぐっと具体的になりました。

③ 傷病手当金・出産手当金の金額

病気やケガで働けなくなったときの傷病手当金なども、標準報酬月額をもとに計算されます(ざっくり言うと日給換算の3分の2)。標準報酬月額は「取られる額」だけでなく「守られる額」の基準でもあるんです。

④ 将来の厚生年金額

厚生年金の受給額は、現役時代の標準報酬月額(と賞与)の記録をもとに計算されます。保険料が上がるのは正直痛いですが、その分、将来の年金や手当の計算基礎も上がっている——そう考えると、少しだけ気が楽になります。


まとめ

項目 内容
標準報酬月額とは 社会保険料計算のための「基準となる月給」(等級制)
調べ方 給与明細の厚生年金保険料 ÷ 0.0915 = 標準報酬月額
注意点 端数は最寄りの等級・65万円で頭打ち・健保と等級番号は別
変わるタイミング 定時決定(4〜6月平均→9月から)と随時改定
決めているもの 社会保険料・高額療養費の上限・傷病手当金・将来の年金

給与明細は「手取りを確認して終わり」になりがちですが、厚生年金保険料の欄には自分の社会保険上のプロフィールが隠れています。電卓ひとつでできるので、ぜひ一度、ご自身の標準報酬月額を逆算してみてください。

関連記事:

一緒に少しずつ学んでいきましょう!


てどりん
てどりんひとこと 保険料÷9.15%、電卓ひとつで自分の等級が分かります。「取られてる額」の裏に「守られてる額」があると知ってから、明細を見る目が少し変わりました!

※この記事は個人の体験談・感想です。等級表や保険料率、高額療養費の上限額は改定されることがあります。最新の情報は日本年金機構・協会けんぽなど公式サイトでご確認ください。