こんにちは、てどりんです。

前回、国債が2.9%でも債券を買わない理由という記事を書きました。個人向け国債は、税金とインフレを引くと実質−0.35%という話です。

そのとき「じゃあ定期預金は?」「社債は?」という疑問が残りました。

今回はそこを調べます。すぐには使わないけれど、減らしたくないお金の置き場所として、次の4つを並べて比べました。

定期預金(楽天銀行・ドコモSMTBネット銀行)
個人向け国債
社債
債券ファンド(投資信託)

すべて2026年9月時点の、公式サイトに載っている実際の数字です。

先に結論を書くと、残ったのは1つだけでした。

1. 定期預金は、国債よりさらに下でした

まず定期預金からです。

私のメインバンクは楽天銀行なので、そこから見てみました。

期間 金利(年・税引前)
1年 0.50%
2年 0.65%
3年 0.80%
5年 1.00%
10年 1.25%

出典:楽天銀行「金利一覧」2026年9月9日現在

先日記事にしたドコモSMTBネット銀行も見てみました。

期間 金利(年・税引前)
1年 0.50%
2年 0.65%
3年 1.40%
5年 1.60%

出典:ドコモSMTBネット銀行「金利のご案内 円定期預金(個人のお客さま)」2026年9月9日現在

ネット銀行は、まだ良いほうです。日本銀行が集計している全国の銀行の平均はこうなっています。

平均金利(2026年8月)
定期預金 1年(1,000万円以上) 0.447%
普通預金 0.306%

出典:日本銀行「預金種類別店頭表示金利の平均年利率等」2026年8月

同じ年数で並べると、差がはっきりします

定期預金のライバルは、国債です。 どちらも「減らさずに置いておく」ための商品だからです。

同じ年数で並べてみました。

年数 楽天銀行 定期 ドコモSMTB 定期 個人向け国債
3年 0.80% 1.40% 1.96%
5年 1.00% 1.60% 2.24%
10年 1.25% ― 1.95%(変動)

どの年数でも、国債のほうが上です。

100万円を1年間置いた場合の、実際に受け取れる金額(税引後)で見るとこうなります。

商品 1年間の手取り利息
楽天銀行 定期1年 0.50% 3,984円
個人向け国債 変動10年 1.95% 15,539円

約3.9倍です。

実質で見ると、もっと厳しい

インフレを引いた実質利回りで並べると、こうなります。

商品 実質利回り
個人向け国債 変動10年 −0.35%
ドコモSMTB 定期5年 −0.63%
楽天銀行 定期5年 −1.10%
楽天銀行 定期1年 −1.50%
普通預金(全国平均) −1.66%

債券もインフレに弱いのですが、定期預金はさらに弱いです。

理由は単純で、もともとの利回りが低いからです。引かれる量が同じなら、元が小さいほうが深くマイナスに沈みます。

そして、途中でやめると利息がほぼ消えます

もうひとつ、定期預金には見えにくいコストがあります。途中で解約したときの利息です。

楽天銀行の中途解約利率は、こう決まっています。

預入期間 中途解約利率
1年未満 約定利率×5%
1年以上3年未満 約定利率×10%
3年以上5年未満 約定利率×15%
5年以上7年未満 約定利率×20%

出典:楽天銀行「金利一覧」定期預金中途解約利率(2015年11月26日以降の預入分)

5年定期を途中で解約すると、1.00%が0.20%になります。 ほとんど消えるということです。

100万円を5年定期に入れて、3年目に必要になった場合を計算してみました。

3年間で受け取れる利息(税引後)
楽天銀行 5年定期を3年で解約 4,781円
個人向け国債 変動10年を3年で換金 31,077円

個人向け国債は1.95%が3年続いた前提。中途換金時に直前2回分の利子(税引前)相当額×0.79685が差し引かれる計算

6倍以上の差になりました。

個人向け国債は、途中で換金しても差し引かれるのは直前1年分の利子だけです。それまでに受け取った利子は残ります。定期預金のように、過去にさかのぼって全部減らされるわけではないのです。

ここまでは「定期預金より国債」という話です。 ただし私自身は、どちらも買っていません。 理由は国債が2.9%でも債券を買わない理由に書きました。

なお私は楽天銀行をメインバンクとして使っていますが、定期預金には入れていません。 生活費と、すぐ使うお金の置き場所として使っています。

2. 社債は「国債」ではありません

金利の話になると、「利率3%の社債があった」という情報も目に入ってきます。

たしかに国債より高いです。でも、私は1本の社債を買うことはおすすめしません。

高い利率には、理由があります

会社が社債を出すのは、お金を借りたいからです。

そして、銀行が安く貸してくれる会社は、わざわざ高い利率の社債を出しません。 銀行から借りればいいからです。

利率が高いということは、それだけ「貸すのに勇気がいる相手」だということです。得をしているように見えて、その分のリスクを引き受けているだけかもしれません。

実際のデータを見ました

日本格付研究所(JCR)が、格付ごとに何%が実際にお金を返せなくなったかを公表しています。2000年から2025年までの実績です。

格付 1年後 5年後
AAA 0.00% 0.00%
AA 0.00% 0.05%
A 0.01% 0.30%
BBB 0.42% 2.17%
BB 2.88% 13.30%
B 21.95% 53.66%

出典:日本格付研究所「JCR格付推移マトリックスおよび累積デフォルト率」2026年3月25日公表(調査対象期間 2000年~2025年)

「デフォルト」とは、約束どおりに元本や利子が払われない状態のことです。

ここで注目したいのはBBB格です。BBB格は「投資適格」と呼ばれる、まともな会社の範囲です。それでも5年で2.17%がデフォルトしています。

BB格まで下がると5年で13.30%。7社に1社近くです。

だから「分散」が前提になります

もし100社の社債に分散して持っていれば、2社が返せなくなっても、残りの98社の利子でカバーできる可能性があります。これが債券の本来の持ち方です。

でも1社だけ買っていたら、その1社が外れだった時点で終わりです。

株を1銘柄だけ買うのと、まったく同じ構造です。私たちが投資信託でオルカンやS&P500を選ぶのは、この「1社に賭ける」を避けるためでした。債券だけ例外にする理由はありません。

そして国債には、この心配がそもそもありません。発行しているのが会社ではなく国だからです。

「国債も社債も同じ債券」ではありません。 中身がまったく違う商品です。

3. 残ったのは、個人向け国債の変動10年だけでした

定期預金は国債に負け、社債は1本では買えない。そうやって消していくと、残るのは1つでした。

個人向け国債の「変動10年」です。

理由は3つあります。

①元本が減りません

満期でも途中でも、額面100円につき100円で戻ってきます。

出典:財務省「個人向け国債」償還金額:額面金額100円につき100円(中途換金時も同じ)

市場で売買される債券は、金利が上がると価格が下がります。個人向け国債には、これがありません。

②金利が上がったら、ついてきます

変動10年は、半年ごとに年2回、利率が見直されます。

固定3年・固定5年は、買ったときの利率が満期まで変わりません。今後さらに金利が上がっても、置いていかれます。

いま日本の金利は上昇の途中です。この局面で固定を選ぶ理由が、私には見当たりません。

なお下がったときも、年0.05%の最低金利保証があるので、ゼロにはなりません。

③1年経てば、換金できます

発行後1年経過すれば、いつでも1万円単位で換金できます。 差し引かれるのは直前2回分の利子相当額だけです。

出典:財務省「個人向け国債」中途換金:発行後1年経過すれば、いつでも中途換金が可能

ただし、注意点もあります

最初の1年は原則として換金できません。

定期預金は、いつでも解約できます(利息はほぼ消えますが、元本はすぐ戻ります)。この1点だけは、定期預金のほうが自由です。

なので「来月使うかもしれないお金」は、国債には向きません。 それは普通預金に置いておくお金です。

補足:債券ファンドは、また別の話です

ここまでは「個人向け国債」の話でした。

でも、多くの人が「債券を買う」というとき、実際に買うのは債券の投資信託(債券ファンド)です。オルカンの債券版のようなものですね。

こちらには、もうひとつ注意点があります。金利が上がると、債券ファンドの価格は下がります。

理由は単純です。年1%の債券を持っているときに、市場の金利が2%になったら、その1%の債券はもう誰も欲しがりません。 だから安くなります。

個別の債券なら、満期まで持てば元本が戻ってくるので気にしなくて済みます。でも債券ファンドには満期がありません。 値下がりしたまま持ち続けることになります。

つまり、いまのように金利が上がっている局面では、債券ファンドは「利回りが低い」だけでなく「価格も下がる」という二重の逆風を受けます。

個人向け国債には、これがありません。 額面100円は100円のまま戻ってきます。この点だけは、個人向け国債のほうがはっきり優れています。

この仕組みはなぜ私は債券に投資しないのかで図つきで説明しているので、詳しくはそちらをご覧ください。

まとめ

4つ並べて比べた結果です。

商品 実質利回り 判定
普通預金(全国平均) −1.66% 置くだけの場所
楽天銀行 定期5年 −1.10% 国債に負ける
ドコモSMTB 定期5年 −0.63% 国債に負ける
社債(1本だけ) ― BBB格でも5年で2.17%がデフォルト
債券ファンド ― 金利上昇で価格が下がる
個人向け国債 変動10年 −0.35% 残ったのはこれだけ
定期預金はどの年数でも国債に負ける(楽天3年0.80%に対し国債1.96%)
途中でやめると定期預金は利息がほぼ消える(約定利率×20%)
社債は1本だけ買うものではない(分散が前提の商品)
債券ファンドは金利上昇で価格が下がる(満期がないので戻らない)
個人向け国債 変動10年だけが、元本も減らず金利にもついてくる
ただし最初の1年は換金できない(すぐ使うお金は普通預金へ)

ただし私自身は、そのどれも買っていません。 実質がまだマイナスだからです。その理由は国債が2.9%でも債券を買わない理由に書きました。

「置くならこれ」と「いま置くべきか」は、別の問題です。 この記事は前者の答えです。

関連記事:

一緒に少しずつ学んでいきましょう!


てどりん
てどりんひとこと 定期預金の中途解約利率が「約定利率×20%」だったのには驚きました。5年定期を3年でやめると、1.00%が0.20%になります。置き場所で、ここまで変わるとは。

※この記事は個人の感想です。金利の数値は2026年9月9日時点で各社が公表しているもので、今後変動します。個人向け国債の利率は毎月変わります。定期預金のキャンペーン金利は時期・条件によって異なります。債券ファンドは、途中で売却する場合に元本割れの可能性があります。特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。